この記事では、筆者が務めていたアメリカの保育園の様子を説明します。
※あくまでも筆者が務めていた園での話なので、施設によって違います。
この記事を読むと…
- アメリカの保育園の様子がわかる
- 疑問に思っていたアメリカの保育方針に納得がいく
今後、仕事の都合で海外勤務、家族でアメリカに引っ越すかもしれない人・海外の保育現場に興味がある人・海外の保育園で働いてみたい人・アメリカの学校で教育を学びたい人等の参考になれば幸いです。
1日のスケジュール
6:00 | 開園 |
~8:30 | 先生、子どもの人数によって異年齢混合クラス |
8:30 | 各クラスへ移動、読み聞かせ、朝食 |
9:00 | 自由遊び、製作等 |
11:00 | 片付け、集まり(読み聞かせ等) |
11:30 | 昼食 |
12:00 | お昼寝 |
14:00 | お昼寝から起き始める、集まり(読み聞かせ等) |
14:30 | おやつ |
15:00 | 自由遊び |
16:30 | 先生、子どもの人数によって異年齢混合クラス |
17:30 | おやつ |
18:00 | 閉園 |
まず、日本の多くの保育園と違う点は朝食の提供ではないでしょうか。
園で朝食が食べられるので、親にとっては有難いですよね。
私もフルタイムで働きながら育児の経験があるので、朝の忙しさはよくわかります。
おうちで朝食を与えなくてよければ、朝の忙しさがグッと減るのではないでしょうか。
次に違う点は、17:30のおやつがあることです。
園では3時間おきの食事の提供が義務付けられています。
クラスの環境
各クラス内には、子どもの年齢に合わせたおもちゃが用意されています。
おもちゃはエリアごとに分かれており、絵本エリア、ブロックエリア、音楽エリア、キッチンエリア、パズルや色分けなどのような思考と指先の操作を伴う遊びエリアなどがあります。
エリア内のおもちゃは、子どもが飽きないよう、ひと月程度で交換されます。
子どもたちはいつでも好きなおもちゃで遊べる環境にあります。
また、同じおもちゃが2つ以上そろっていることが多く、それは子どもの遊びたいおもちゃが他の子に使われていても、できるだけ遊びたいおもちゃを遊びたい子に提供できるためです。
日本よりも子供の自主性を大切にしている印象があります。
しかし、このような環境であっても、子どもたちは他の子が使っているおもちゃで遊びたがる傾向があるので、順番の概念を教える機会は常にあります。
子どもたちにとっては常におもちゃで遊べる環境が用意されている一方、先生にとっては大変な面もあります。常におもちゃにアクセスできる状態ですから、読み聞かせ中も遊びに行ってしまう子も…。その子に影響され、さらにお集りから抜けてしまう子が出てくることもあります。
先生:子どもの比率
以下の表に先生:子どもの比率を示しています。
年齢 | 日本 | アメリカ |
---|---|---|
0歳児 | 1:3 | 1:4 |
1歳児 | 1:6 | 1:5 |
2歳児 | 1:6 | 1:7 |
3~5歳児混合クラス | 1:20 (3歳児)/1:30 (4,5歳児) | 1:12 |
特に3歳児以上では日本と大きな違いがありますね。
しかし、娘の通っていた日本の園では、2人担任制であったり、補助の先生も入ってくださっていたので、国の基準とは違い、実際の現場ではこの表の比率よりも目が届いていました。
一方アメリカの園では補助の先生はいません。
そして、ビデオカメラがあらゆる角度から設置されているため、低年齢のクラスでも先生1人でクラスを任されます。
(カメラの映像は録画されるとともに、入り口には大きなスクリーンがあり、だれでも各部屋の様子を見ることができます)
例えば、0歳児クラスで1人の先生で4人の赤ちゃんをみることは、2人で8人をみる時よりも大変になります。
保育士資格
日本では保育士として働くために、保育士資格が必要ですが、アメリカでは必要ではありません。
バックグラウンドチェックと言って、犯罪歴などないか、教育現場で働くのにふさわしいかのチェックを済ませると、高卒で働き始めることができます。
日本の園とは違い、クラスにオルガンがあるわけでもないので、ピアノも弾けなくて大丈夫です。
歌や踊りにはCDを使っています。
ただ、働き始めると常にトレーニングを受け、保育士としての知識と技術を身に着けていきます。
クラスをまとめるリーダー保育士は、経験や学歴が必要となります。
給食
日本で給食といえば、「栄養士が献立を考え、調理員が調理をする」ではないでしょうか?
アメリカの給食は、もちろん栄養のことは考えて作られていますが、冷凍食品や缶詰を使用したものもよくでてきます。
おやつも市販のものも多いですね。
日本人からすると、あまり我が子に食べさせたいと思えるレベルではないかもしれません。
給食を作る人も、レストランなど「食」を扱うところでの経験があればなれます。
学生時代ファミレスでアルバイトしていた筆者も、アメリカ保育園での”調理員”になる資格はあるということです。
また、子どもの自主性を大事にしているので、先生も給食やおやつがほしくない子どもに「頑張って食べてみよう」と根気強く向き合うこともありません。
1歳児クラスからは食後の食器は自分で片づけることを教え始め、3歳児クラスからは食事の準備、自分の食事は自分でお皿に入れること、そして片付けまで教えていきます。
0歳児クラスでは、園で提供する離乳食は市販のものです。
生後8ヶ月ごろから、保護者と相談の上、「大人が食べるものと同じものを小さく切ったもの」へと移行していきます。
お昼寝
お昼寝は各々のコットを使います。
日本のようにみんなまとまって寝るのではなく、一人一人が離れたところで寝ます。
充分な距離で離れられるスペースがない場合は、頭と足を隣同士の子で交互にするよう寝させます。
これは、顔と顔が隣同士で近くに寝ていた場合の咳などによる感染症予防にもなるためです。
外遊び
各クラスには外へつながるドアがあり、外遊びにすぐ出ることができます。
アメリカの保育園では、0歳児クラスを除き、子どもたちは常に靴を履いています。
お昼寝のときもです。
これは、緊急時にすぐに外へ逃げることができるためでもあります。
外遊びは、クラスから出てすぐがプレイグランドなのですが、プレイグランドも各クラスによってわかれています。
ぞれぞれの年齢にあった遊具が設置してあるので、例えば2歳児クラスの子は3歳児クラスの子のプレイグランドには入ることができません。
プレイグランドの地面はゴム舗装となっており、排水性がよく転落等による衝撃も和らげることができます。
また、夏場の外遊びにはルールがあります。
26℃~29℃の気温では、とくに制限はありませんが、29℃~31℃では30分の活動後には10分間は陰で休憩をとること、31℃~32℃では15分程度に外遊びは控え、32℃以上では外遊びはできません(水遊びを除く)。
真夏は早朝でない限り外遊びができないから、先生も子どもたちもストレスを感じるよ。
参観日/行事
アメリカの保育園では、日本の運動会やお遊戯会のような行事は一切ありません。
しかし、月に1回家族を招待するイベントを開いたり、クラスごとでも月1~ひと月おきくらいにイベントを開きます。
また、年に3回面談の機会も設け、子どもの成長を話します。
その他、定期的に土曜日の夜に園を開けることもあります。
時間は18時~24時までで、親が自分たちの時間を楽しめるために子どもを預かるシステムです。
親との連絡
2歳児クラスまでは、毎朝親に子どもの様子や最後の食事の時間等を紙に書いてもらいます。
(食事の時間等に関しては特に0歳児クラスです)
保育士はその紙に園での食事内容、排せつ内容、様子等を書いてお迎えのときに親に渡します。
特に0歳児クラスでは、何時に何をどのくらい食べたのか、また、排せつの様子についても知ることができるので、よい方法だと思います。
日焼け止め
日焼けに対する意識はアメリカの方が高いと思えます。
私たち保育士も、夏の外遊びの前には子ども一人一人に日焼け止めをつけます。
午前に水遊びをした日には、午後の外遊びの際にはまた日焼け止めをつけます。
子どもたちもそれぞれ自分の日焼け止めを園に置いています。
まとめ
以上、「アメリカの保育園、日本とはこんなところが違う」をまとめてみました。
アメリカの保育園の様子
- スケジュールの違い(朝食提供がある)
- クラスの環境(子どもはいつでもおもちゃにアクセス可)
- 先生:子どもの比率は日本と違う(保育室はカメラがある)
- 保育士資格はいらない
- 給食は全てが手作りではなく、食べるか食べないかも子ども次第
- お昼寝はみんな距離をとって寝る
- 各クラス別に外遊びの場所も違う。夏場は暑さによって外遊びに制限あり。
- 園全体の行事は月一回のイベントのみ
- 2歳児クラスまでは毎日専用の用紙で子どもの様子を親と共有する
- 日焼けに対する意識が高い
最後に
保育園の先生は、英語で Caregiver と言います。
幼稚園以降は Teacher ですね。
先生の呼び方は、Ms. / Mr. で呼びます。
日本花子さん、日本太郎さんの例で例えると、Ms. Hanako、Mr. Taro といった感じです。