この記事では、筆者が勤めていたアメリカの保育園で、日ごろから行っている感染症対策について説明します。
まず第①回は除菌についてのお話です。
この記事を読むとわかること
- コロナ禍でのアメリカ保育園での対策
- 除菌の仕方とタイミング
- 保育園で使用する除菌スプレーの作り方
- 子どもと楽しむ衛生管理
なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、園内で変更した点は以下の9項目です。
お子さんの通っている保育園・幼稚園での対策はどうですか?
先生方も毎日の忙しい保育の時間をぬって、対策を取られていると思います。
以下の項目は私の勤めていた園の対策ですが、園によって対策にも違いがあると思います。
疑問に思うことはお子さんの園で尋ねてみましょう。
変更箇所
1.各クラスに滞在する先生(大人)は最小人数に
例えば1歳児クラスは一人の先生で5人の子どもまでみることができます。
もし子どもが6人いれば先生は2人必要ですが、子どもが5人以下になったら、先生の配置もできる限り1人となります。
2.クラスに入る先生の固定
基本的にクラス担任が自分のクラスに入るのですが、担任の休憩時間やプランをする時間は代わりの先生が入ります。
代わりの先生がいろいろなクラスに入らなくてもいいよう、できるだけ同じ先生が同じクラスに入るように管理します。
3.午前・午後の異年齢混合クラスをできるだけ避ける
朝早い時間や夕方は、子どもの数と先生の数によって通常は異年齢混合クラスとなります。
そのため、感染症拡大対策として、この混合をできるだけしなくてもいいよう、先生のスケジュールを管理します。
4.歯磨きの停止
食後の歯磨きは飛沫を防ぐためしない。
5.給食の取り分けは先生で
3歳以上では食事の取り分けや配膳も教えていきますが、感染症対策として全て先生で行う。
6.先生は子どもと食事をしない
先生は子どもの食事時間に一緒に食事をとらない。
コロナ前は子どもへの見本ともなるため、食事は一緒にとっていました。
6.こまめな除菌と空気の換気
お遊戯室のような共有スペースは、各クラスが使い終わったら除菌する等、今まで以上に除菌に気を配る。
7.家族の教室内への立ち入り禁止
授乳に来る母親には、0歳児クラス内に授乳スペースを設けていましたが、教室外に授乳スペースを設けました。
8.施設内へ入る人全ての健康チェックと検温
施設の入り口で先生含め、全ての人の健康チェック及び検温をします。
9.ねんどなどみんなで集まって共用するものの停止
みんなで使って消毒ができないものは使用しない。または使用後処分する。
たくさんの子どもが1ヵ所に集まって活動する遊びも控える。
(一時使用停止していましたが、現在は使っています。)
上述したように、新型コロナウイルス感染拡大の対策として保育園もできる限りのことを取り組んでいます。
しかし、たくさんの子どもたちが集まる保育園は、コロナ以外にも常に感染症の危険があり、そのリスクを下げるために、日々先生たちは気を付けています。
以下では感染症対策として日ごろから保育園で取り組んでいることとして、除菌についてお話しします。
家庭でも取り入れることができる方法なので、参考にしてください。
Contents
保育園の感染症対策 〈除菌〉
消毒・除菌
園内には、部屋ごとに「ブリーチスプレー」「ソープスプレー」「水スプレー」の3点が2セットずつ用意されています。
1セットは食事の準備をするエリア、もう1セットはおむつ替え、またはトイレのエリアです。
食事編
食事をするテーブルやハイチェアのトレーを食事の前後除菌します。
ソープスプレー → 拭く → 水スプレー → 拭く → ブリーチスプレー → 自然乾燥または数分 (最低でも2分間) おいて拭くことが望ましい
の順で除菌します。
(ハイチェアのトレーは、食べこぼしが多ければ洗ってからブリーチをスプレーします)
おむつ替えエリア編
おむつ替えのときは、おむつ替えのマットの上に使い捨ての紙を敷きます。
おむつ替えが終わったあとは、マットを
ソープスプレー → 拭く → 水スプレー → 拭く → ブリーチスプレー → 自然乾燥または数分 (最低でも2分) 置いて拭く
の順で除菌します。
おもちゃ編
クラスの流しには、流しに入る大きさの容器が準備してあり、毎日その容器に水と液体石鹸(手洗い用)を入れて「石鹸水」を準備しています。
子どもが口に入れたおもちゃは、その石鹸水につけておきます。
1歳児以降からは口におもちゃは入れないことを教えていきますが、0歳児では口におもちゃを入れることは適切な発達段階なので、止めさせることはしません。
赤ちゃんが使い終わったら、保育士がおもちゃをとり、石鹸水につけます。
洗濯できるものは洗濯する。
また、おもちゃは種類ごとに洗う曜日が決まっています。
子どもたちのお昼寝時、そして子どもたちが帰ったあとにそれらのおもちゃを洗い、除菌します。
①まず、洗うおもちゃを流しの容器に溜めた石鹸水で洗い、その後水ですすぐ。
②広げたバスタオルに広げて乾かす。
③1日の終わりに、ブリーチスプレーをかけて自然乾燥させる。
部屋編
子どもが帰った後、室内のテーブル、おもちゃ、ドアノブ、カーペットなどにブリーチスプレーをします。
以上が園でしている除菌の手順になります。
石鹸水に関しては、とくに分量は量っていませんが、ブリーチは分量を正確に量りましょう。
また、子どもがいる近くではブリーチは使用しません。
匂いのついていないタイプを使用しましょう。
アメリカの職場ではCloroxのブリーチを使用していますが、日本ではハイターが同じものにあたります。
おもちゃの消毒には塩素系のハイターを使いましょう。
(商品によって次亜塩素酸ナトリウムの濃度が違うので、説明書を読みましょう。)
Clorox ブリーチスプレー液の作り方
Clorox (次亜塩素酸ナトリウム濃度 6.15%) の場合、
【食事に使われるもの】 4.5Lの水に対し、大匙1のブリーチ
【おむつ替えのマットやおもちゃ】 4.5Lの水に対し、1/4カップ (50ml) のブリーチ
【嘔吐・下痢】 4.5Lの水に対し、1/3カップ (67ml) のブリーチ
がブリーチの割合です。
※有効期間は24時間です。園では毎日新しいものを作っています。
私も子どもの嘔吐下痢に備えて、家にはキッチンハイターを備えています。
でも、ハイターが普段、おもちゃの除菌にも使えるのは知りませんでした。
ハイターの主成分は次亜塩素酸ナトリウムといって、分解されて無害になるスピードがはやいので、子どもが口に含むものでも大丈夫ですよ。
スプレーして自然乾燥なら、手間がかかりませんよね。
第2子が保育園に行き始め、風邪をひきっぱなしだったときは、毎晩時間をかけておもちゃを除菌して拭いていました。
日本の商品を使う場合にも、商品パッケージやHPに次亜塩素酸ナトリウム消毒液の作り方が記載されているので、参考にしましょう。
ポイント
① 酸性タイプト塩素系のハイターを混ぜない
② 換気をする
③ 手袋を使う
④ 原液ではなく希釈して使用する
子どもと一緒に楽しもう
おもちゃの除菌といえば、大人の仕事…と思っていませんか?
もちろん薬品を使う場合は大人がしなければいけませんが、過程を子どもと一緒に楽しめますよ。
園でも3歳児以上のクラスでは取り入れていて、子どもたちも好きです。
雨の日など、外で遊べない時などにいいかもしれませんね。
以下、子どもと一緒に遊び感覚でできる方法です。
石鹸水でジャブジャブ
先ほど、園では石鹸水におもちゃを入れて洗った後にブリーチをスプレーするとお話しましたよね。
この、石鹸水でおもちゃを洗うところを子どもに任せてみましょう。
少し大きめな入れ物に石鹸水を用意し、あとは子どもに洗ってもらい、水ですすぎ、バスタオル等大きなタオルに置いてもらうところまでやってもらいます。
片付けや水がこぼれる心配がないようにお風呂でするのもいいですね。
ここまでやってもらったら、あとは大人がブリーチをスプレーしておしまいです。
(おもちゃは洗わなくてもブリーチをスプレーするだけでも効果があります。ここでは子どもと楽しむという点で”洗う”過程をいれていますが、いつも洗わなくてはいけないわけではありません。また、洗うということはおもちゃをきれいにするということであって、除菌とは異なります。)
子どもも楽しみながらお手伝いをした満足感と、自分のものを自分で管理するという概念とそのやり方を身に着けることができます。
以上で 感染症対策 〈除菌〉編は終わります。
その他の感染症対策として、〈保育士のゴム手袋着用の徹底〉〈お昼寝の仕方〉〈おむつ替えのルール〉に関する記事を書いています。
そちらも参考にしてください。
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参考アメリカではこうする!保育園での感染症対策②【ゴム手袋】【お昼寝】【手洗い】
この記事では、感染症を防ぐために日ごろからアメリカの保育園で行っている対策について説明します。 今回は【ゴム手袋】【お昼寝】【手洗い】についてです。 【コロナ対策】【除菌】については 「保育園での感染 ...
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