可愛い我が子が産まれて約1年。
これくらいを目途に育休の終了や職場復帰を考える人が多いのではないでしょうか。
私も第2子、第3子ともちょうど1歳頃から保育園に預けています。
母親としては、子どもと離れる不安、子どもが親と離れてどうかなという不安、仕事復帰に対する仕事への不安、仕事復帰による育児・家事への不安。
たくさんの不安を抱えながらも早く子どもが保育園に慣れてくれればという思いで保育園におまかせします。
そんな新生活の始まりの中で、ぜひ知ってもらいたいことがあるので、この記事を書きます。
この記事では、乳幼児突然死症候群(SIDS)と保育園入園間もない子どもとの関連性について説明します。
記事を読んだらわかること
- 慣らし保育の意義
- 保育園入園と乳幼児突然死症候群(SIDS)発症の関連性
- 預け始め1ヶ月の乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク
- 子どものためにできること
「慣らし保育」とは
「慣らし保育」
保育園入園を控えた親御さんは聞いたことがあるのではないでしょうか。
園によっても違いますが、我が子が通っている園でも「慣らし保育は」ありました。
アメリカで保育士をしていた時も、アメリカの保育園でも基本的には「慣らし保育」をするように保護者に話していました。
「慣らし保育」とは、乳幼児が保育園に入るにあたって、新しい環境に少しずつ慣れていけるよう、子どもを預ける時間を短時間から開始し、徐々に時間を延ばしていく制度です。
第3子が通っている園では、初日は約2時間ほど、給食は食べずに帰り、次の日は給食を食べる。
そして、また次の日は午睡までをし…と徐々に預ける時間を延ばしていきました。
私の場合は預かり保育開始から仕事復帰まで時間があったので、慣らし保育は少しずつ、2週間くらいかけてゆっくりと進めました。
第2子の場合は時間の余裕がなかったので、慣らし保育の時間は1週間程度だったと思います。
自治体や園によって様々ですが、慣らし保育は3日程度~2週間程度の期間が設けられているようです。
慣らし保育は必要?
「自分の子は人見知りもないし…」「保育料払っているんだから…」「仕事が始まって余裕がないし…」など、様々な理由で慣らし保育に懐疑的な意見もあるとは思いますが、そもそも慣らし保育は誰のためにあるのでしょうか?
「慣らし保育」は保育園に入園する乳幼児のためのものです。
特にまだ小さくて話さないこどもが、保育園入園でどれくらいストレスを感じているのかはわかりません。
ただ、預ける時に大泣きする我が子をみると、徐々に慣らしてあげたいと思うことでしょう。
しかし、慣らし保育の目的や意義は、こうした子どもが親から離れることに不安を感じることへの対策というだけではなく、もっと深いところにあるのです。
今、親と離れ、新しい環境での生活が始まる乳幼児が感じるストレスが、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクをあげていると考えられています。
そのため、保育園での「初期の預け方=慣らし保育」を社会全体で考えていく必要があります。
乳幼児突然死症候群(SIDS)と保育園入所の関連性
内閣府及び厚生労働省から公表されたデータをまとめると、2008年~2017年に保育中に亡くなった幼児は139人、年間約10人となります。
年齢では0歳が半数以上、次いで1歳、2歳となり、3歳未満が90%を占めます。
そのうち、「事故」以外の要因の約85%が睡眠中に亡くなっているというデータがあります。
そして、そのうち乳幼児突然死症候群(SIDS)が原因とされるものが19%となります。
(不明が56%)
ここで、保育園入所、預かり初期と乳幼児突然死症候群(SIDS)の関連に注目してもらいたいと思います。
詳細調査によると、預かりはじめ1ヶ月以内の乳幼児突然死症候群(SIDS)発症率は2ヶ月後以降の17倍にも上るというデータがあります。
初日と2ヶ月目以降では、なんと133倍のリスクがあります。
データからみても、預かり初期に乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが上がることがわかります。
保育園に行き始めてからの乳幼児の心理的ストレス、肉体的疲れ、また集団生活の中での感染症の影響が原因の一つとして考えられます。
アメリカでも保育園とSIDSの関連は、日本と同じようなデータがあります。
また、アメリカのSIDSに関するウェブサイトでは、「SIDS発症が低リスクの子でも(環境などの外的要因、6ヶ月未満の発達段階的要因、遺伝などの内的要因がない、または低い)、保育園入所というイベントはその子どものSIDS発症のリスクを高リスクとあげる」と言及されています。
乳幼児突然死症候群(SIDS)発症時の体調
SIDSでは、発症日当日の体調が悪かった乳幼児が70%に及んでいたというデータがあります。
ここでいう体調不良とは、ミルクの飲みが悪いや、機嫌が悪い、よく泣くといった、保育園には預けられる程度の体調不良です。
保育園入所しばらくは、集団生活の中で感染症ももらいやすく、子どもも体調を崩しやすい時期です。
しかし、特に仕事復帰したばかりだと休みも取りずらく、「熱がないから…」と預ける保護者の方は多いと思います。
このような体調不良がSIDSと関連しているかもしれないということはメディアでも取り上げられていないため、浸透していません。
乳幼児突然死症候群(SIDS)と保育園預かり初期の関連性のデータや詳しいことは、保育中の突然死予防研修推進会事務局の資料を参照ください。
データのグラフつきで見やすいです。
乳幼児突然死症候群(SIDS)についての詳しい内容や予防策はこちらの記事を参考にしてください。
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子どもたちのためにできること
保育園に行き始めた子の突然死のリスクが高いことがわかってきた今、「預かり保育」について社会全体で考えていく必要があるのではないでしょうか。
「預かり保育」=「子どもの命を守るため」と社会全体の意識を変えていかなければいけません。
それぞれの立場で
- 親ができること
- 職場ができること
- 保育園ができること
- 行政ができること
親ができること
- 「慣らし保育」についての情報を職場と共有する
- 「慣らし保育」期間を考慮して職場復帰を考える
職場ができること
- 「預かり保育」の意義を知り、理解を示すこと
- 会社全体で「預かり保育」の意義を共有すること
- 職場復帰する社員の働き方を考慮すること
保育園ができること
- 「慣らし保育」の実施について、早めに保護者に伝えること
- 「慣らし保育」の目的を明確に伝えること
行政機関ができること
- 「慣らし保育」の存在と意義をメディアを通して広く浸透させること
- 「慣らし保育」のピークを分散させたり、4月職場復帰の保護者を考慮して、3月からの「慣らし保育」の取り入れを検討すること
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まとめ
子どもたちの命を守れるのは、親だけではなく、社会全体としてです。
まだ「突然死」と「保育園入所」の関連性は社会では認知されているとは言えません。
この記事を通して、「慣らし保育」の意義を少しでも多くの人に知ってもらい、今私たちが親としてできることを精いっぱいやることで、社会全体で子どもたちを守ることができる未来を切り開く第一歩となれば幸いです。
「慣らし保育」と乳幼児突然死症候群の関連性
- 外的要因によるストレスは乳幼児突然死症候群のリスクを上げる
- 「慣らし保育」=「子どもの命を守るため」
- 乳幼児突然死症候群発症のリスクは初日で133倍、初めの1ヶ月で17倍(入所2ヶ月後と比較)
- 乳幼児突然死症候群発症時、体調が悪かった子が70%